“ドーシャ診断”ってついネットでやってしまいがちだけど、本当にそれで自分の体質がわかると思いますか?
アーユルヴェーダでは、心身の調子や体質(ドーシャ)は 一瞬の答え で決まるものではなく、日々の状態や季節、生活の中でゆらぎながら現れていきます。
この記事では、インターネット上の簡易診断がなぜ誤解を生みやすいのか、そして本当に自分のドーシャを知るための観察の仕方について、3つの理由とともに丁寧に解説していきます。
ドーシャは「体質」で「病素」であり「生理機能」でもある

ドーシャとは「体質」という意味のサンスクリット語です。
そのほかにも「病素」という意味もある。
(※サンスクリット語は一つの言語で複数の意味を持つものが多いです)
ドーシャは遺伝子情報のようなもの。
両親から受け継ぎ、母親の子宮の中で受精した瞬間に決定します。
体質は「1つ」または「2つ」優勢とされています。
ドーシャは、最も優勢なものを軸に、やじろべえのように揺れています。
それは食事や生活の中で自分自身で行う選択以外にも、年齢や季節などの「時節」といった抗いようのない理由で調子を崩したり、また戻ったりする。
調子を崩した時にはドーシャは病気の原因になるので「病素」という意味にもなるんですね。
ドーシャには次の3種類がある
- Vata(ヴァータ)
五大元素で風・空のエネルギー。風が吹けば物が移動するように「運ぶ」のが仕事のエネルギー。声に出して人から人に「伝達」する力もVataによるものです。風がそうであるように軽く、乾燥していて、冷たい性質を持ちます。 - Pitta(ピッタ)
五大元素で火・水のエネルギー。火のそばにあれば紙も燃えて灰になるように、物事を「変換」するエネルギー。体内で飲食物を「代謝」するのもPittaが中心となって行われます。火のそばにあれば温かいように温性の性質で、油性があり、その印象通り軽快な軽い性質です。
- Kapha(カパ)
五大元素で水・土のエネルギー。土の上に置いておけば風が吹かない限り、そこから移動しないように「維持・固定」の力です。代謝されたものを血肉にし、必要なものを受容するのも仕事です。冷性で、重性で、油性のどっしりとした性質。
ドーシャは「生理機能」でもある
上記の3つのドーシャに、それぞれが何の機能かを記載しました。
Vataの「運ぶ・伝達」Pittaの「代謝・変換」Kaphaの「維持・固定」考えてみると、これらはどの働きも私たちの生命を維持するために欠かせない働きです。
それもそのはず、ドーシャは体質としては「1つ、ないしは2つ」が優勢なのですが、生理機能としては「3つとも持ち合わせている」ものだからです。
初心者ほど、自分で体質診断しない方が良い3つの理由

「自分を知りたい」
「自分に合った食生活を知りたい」
そう考えてアーユルヴェーダを勉強し始める時、多くの人がインターネットや書籍に記載のある、簡易的なドーシャ診断を試すことがあります。
eatreat.の料理教室ではこの独自で行うドーシャ診断は、特に初心者の頃はあまりやらないほうが良いと伝えています。それがなぜなのか、改めて3つの理由に分けてお伝えしようと思います。
理由①不調からドーシャを推測しても、症状は三者三様だから
ドーシャはその性質から、どのドーシャが優勢だとこんな体格・性格・不調が起きやすいといったことを推測することができます。例えば、こんな感じです。
a)便秘しがち…乾燥・冷えなどの性質のVataが優勢と推測する
お通じの状態として「便秘」は確かにVataが優勢の体質の方が多いです。
小さい頃から便秘、大人になっても便秘。
3日以上でないのが当たり前、そういう方はVata優勢の体質と考えても良いでしょう。
ただし、便秘にもいろいろあります。
便意はあるのだけど、乾燥して、コロコロした便が出る感じなのか。
便意すらなく、腸の蠕動を感じないのか。
前者はVata優勢の便秘ですが、後者はKapha優勢で、運動不足とか寝過ぎ、消化に重たいものの食べ過ぎが原因かもしれません。見誤ってケアしていると、VataとKaphaは真逆の性質を持っているので、なかなか便秘が改善されません。
b)むくみやすい…水の性質で、停滞しがちなKaphaが優勢と推測する
独自に体質診断をした時に間違えやすいのが「むくみ」です。
むくみは実はVata性のもの、Pitta性のもの、Kapha性のものがあり、むくんでいるからといって必ずKaphaが優勢とは限りません。
お酒の飲み過ぎで熱がこもってPitta性のむくみかもしれないし、緊張や浅い呼吸が続いて身体が硬直しているVata性のむくみかもしれない。

独自でできる体質診断表は、項目にたくさん不調が記載してあります。
人は悪いところばかり目が行きがち。
でも、こんなふうに一言で「便秘」「むくみ」といっても状態はさまざま。
それだけで判断するのは難しいのです。
また、不調以外にも「太っている」「痩せている」「骨が細い」「目つきが鋭い」など「見た目」の項目もたくさん記載があります。でも、痩せている人ほど「太っている」と思い込んでいるし「目つきが鋭い」と書かれてどういうことか、正しく判断するのは難しい。
人は自分を客観視するのが苦手で、誤った項目にチェックを入れがちなんですね。
理由②「生理機能」と「体質」をごっちゃにしがち
冒頭でもお伝えしたとおり、ドーシャは本来「体質」である前に「生理機能」として生命を維持するために大切な働きをしています。そのため、体質診断を自分でやってみると「どのドーシャも感じる」だから「結局どの体質なの?」と迷ってしまったり「3ドーシャなの?」と思うことが多いです。
3ドーシャというのは3つともドーシャが優勢の体質。
この体質の方は滅多にいないのでそう思ったらだいたい間違いのことが多いです。
そして、生理機能として、もしくは体質としてドーシャを観察することができないと、ごっちゃになってわからなくなってしまうんです。
理由③年齢や季節など環境に影響を受けてドーシャは変化するから
ドーシャは遺伝子情報のようなもの。
両親から受け継いで、その軸になるものは基本的に生涯変わることはありません。
1つドーシャが優勢な体質ではなく、2つ優勢な「複合ドーシャ」の場合、PittaVataとか、VataPittaとか、KaphaPittaとか、そんなふうに呼ぶのですが、先に来るのが優勢なドーシャです。
その軸は基本的に変わらないのですが、実はドーシャは環境の中にも存在します。
そのため、年齢を重ねていくとき、春夏秋冬の中にも優勢になるドーシャがあり、そのドーシャから人は大きな影響を受けます。
・年齢…人生の初めの1/3がKapha、真ん中の1/3がPitta、最後の1/3がVata
年齢とドーシャはこのように言われています。
小さな時は新しい世界を一心に観察し、受け止めるKaphaの時代、壮年期には受け止めたことを代謝して還元するPittaの時代、最後は全て手放して風のように生きるVataの時代です。
確かに、小さな頃は身体をしっかり作るように維持固定して過ごし、壮年期は仕事や子育てに奔走し自分の中に情熱を感じることでしょう。最後は身体も軽く乾燥して、いろんなことを忘れていきますよね。
・季節とドーシャ…春はKapha、梅雨・初冬はVata、夏から秋はPitta
季節の中にもドーシャがあります。
春はKaphaの重たいエネルギーに影響されて倦怠感を感じたり二度寝を貪ってしまったり、梅雨や、木枯らしが吹き荒ぶ季節はVataの冷えや乾燥を感じます。夏から秋は灼熱の太陽の熱が体内に蓄積し、元々冷え性の人でも身体が消耗したりしますよね。
このような、年齢や季節などを「時節」と言い、時節による影響は避けようがありません。
もしもPitta体質と分かっても、年齢を重ねれば心身が乾燥し、Vataによる不調を感じることになります。もともとKapha体質でも夏から秋には太陽の熱を吸収して上半身にPittaの熱が上るのを感じるかもしれません。
身体・心・魂、三位一体で「生命」

アーユルヴェーダは「生命科学」という意味のサンスクリット語です。
人の傾向という意味ではドーシャを通じて観察できる身体の傾向以外にも、実は心の3つの性質や、15種類あるといわれる魂の傾向もあります。
心の3つの性質や魂の傾向についてはここでは記述しないのですが、身体・心・魂の三位一体で「生命」としています。ドーシャだけでわかることもたくさんありますが、ドーシャだけでは説明ができないこともたくさんある。
身体、心、魂、3つ組み合わせて観察していくと、生命は万華鏡のように立体的になり、見る方向によって姿を変えて、自分という生命の複雑さに感じ入ります。
人はみんな違い「自分とは何か」を理解していくのに一生をかけても良いと思えるほど、奥深いものです。
また、アーユルヴェーダにはドーシャよりも大切な「アグニ(消化力)」というコンセプトもある。この消化力にも傾向があるので、それも含めて観察すると、食生活に関して自分にとってのベストチョイスが色々見つかって面白くなってきます。
ドーシャを簡単に診断して、それだけで自分のことが分かったと思わずに、もしそれできっかけが見えたらでもいいので、その後じっくり心や魂の話も含めてアーユルヴェーダをゆっくり勉強し「わからないことを楽しむ」余白を大切にしてほしいなと思います。
それでも「自分を知りたい」と思ったらどうすればいい?

ここまで、体質診断は自分でしないほうがいいことを力説して参りましたが、一方で「自分のことを知りたい」「不調を軽減したい」という気持ちはとてもよくわかります。
特にせっかちな人や、とりあえず正解が知りたいタイプの人は「そんなに時間をかけて勉強していられないよ」と思うかもしれないです。
そういう場合はどうしたらいいでしょう?
1、アーユルヴェーダのクリニックやサロンで、
ドクターやセラピストに診てもらう
そういう方は、一度アーユルヴェーダ・ドクターのいるクリニック「ハタイクリニック」で先生の診察を受けたり、トリートメントサロンを訪れてセラピストさんに診てもらうことをおすすめします。
思い切ってインドやスリランカに赴いて、現地で受診するのも良いですよね。
アーユルヴェーダのカウンセリングや施術は、病気や不調がなくても受けることができます。
アーユルヴェーダの目的は「健康な人の健康を護り、病気の人の病気を鎮静する」2つの側面があるからです。
多くのアーユルヴェーダ・ドクターもセラピストも、30分以上の詳しい問診をしてくれます。目の前の不調のことだけでなく、幼少期に好きだったことや、仕事は何をしているか、どんなところに住んでいるか、一見関係なさそうなことまで聞かれることでしょう。
ドクターの場合は、この問診に加えて脈診もしてくれることが多いです。
脈は、人の言動からはわからないことも伝えてくれるので、正しい診断を期待することができます。
この時、もしかしたら違う季節、年齢で2回以上受けると、違う診断結果かもしれません。
これは前述したとおり、環境から影響を受けてドーシャバランスが変化している結果かもしれないので「ドクターによって違うんだけどどういうこと」なんて混乱せずに、目の前の人がいうことを信じるようにしてください。
2、eatreat.の料理教室に通う!

アーユルヴェーダのケアは、ドーシャを理解していきながら、そのドーシャバランスが健やかに保たれるように食事や生活、トリートメントを通じてケアしていくことです。その中でも食事が一番大切。
アーユルヴェーダの古典書にある有名な一説に、
ー食事が悪ければ薬は要らない。食事が良ければ薬は要らない。
というものがあります。
これは食事が悪く、消化しきれていない未消化物だらけの身体ではどんなに良い薬も効かないし、一方で食事さえ良ければ身体はそれだけで健康に保たれるので薬は要らないという意味です。
アーユルヴェーダの世界にも、スパイスやハーブといった自然由来の生薬を使ったサプリや薬用オイルなどのアイテムがたくさんあります。どれも素晴らしいものですが、食生活がととのっていなければ、期待通りには効かないこともたくさんあるでしょう。
そのため、アーユルヴェーダを知りたいと思ったら、食事はちゃんと学んでいただけると嬉しいです。
eatreat.では世田谷にあるアーユルヴェーダカフェ「eatreat.ruci」で開催している「リアル参加」のクラスと、オンラインで配信しいつでも好きなタイミングで視聴し学べる「オンライン参加」のクラスがあります。
やっぱりご自身の味覚で味わい、匂いを嗅いで、五感全てを使って楽しんでいただきたいので、店舗に通える距離の方は「リアル参加」で、難しい場合は「オンライン参加」でご参加いただけると嬉しいです。
eatreat.の料理教室の概要はこちら>>>
※2025年10月時点、リアル参加は満席となっております。
オンラインはいつでもご参加いただけるので、お気軽にオンラインからご参加ください。
皆さんがドーシャ理論はもちろん、ご自身のことをゆっくりと理解し、自分に合った「からだの波」に心地よく乗れるようeatreat.では精一杯サポートしていきたいと思います〰️〰️〰️